SUN MOTOYAMA

茂登山貴一郎About Kiichiro Motoyama

株式会社サンモトヤマ
相談役(クリエイティブアドバイザー)
茂登山 貴一郎 Kiichiro Motoyama

前代表取締役会長の茂登山貴一郎は、2019年3月、取締役を退任し、相談役(クリエイティブアドバイザー)に就任いたしました。
以下のインタビューは会長就任時(当時)に掲載されたものです。

幼少からサンモトヤマ創業者である父の茂登山長市郎の側で、美しいものに触れ育つ。フランスのEDCを卒業後帰国。1982年にサンモトヤマに入社。エトロの販売会社設立のため、再び滞仏。帰国後、2007年8月に代表取締役社長に就任。独自の審美眼と感性によって、服飾品にとどまらずアートやプリミティブな造形物、アンティーク品まで、国内外にて自ら買い付けも行う。

会長になられた今、この先のサンモトヤマについて、改めて「志」を教えてください。

これからのサンモトヤマは「スピード感と時代感」がとても大切だと感じています。父である前会長の茂登山長市郎が60年以上前に商いを始めた頃と比べて今の時代は目まぐるしく変化しています。サンモトヤマの歴史をよくご存知のお客様はもちろんのこと、若い方にもサンモトヤマを知って欲しい。まだまだお洒落をして出かけていくことを大切にして欲しい。今を見つめるとともに、改めてこの先の20年を見据えて考えています。

具体的にどんな20年にしたいという想いがありますか。

自分たちにとって決して変えてはいけないところと、この時代の流れに合わせ変化しなければならないところがあります。ものがまだない時代に、ヨーロッパで出会った哲学を持った美しいブランドの数々に、父は、希望や情熱を見ていました。信じることのできる強さを、ファッションとして携えたかったのでしょうね。そこに共感してくださったお客様とのご縁はこの先も大切にしていかなければならない。一方、ものに対する執着が弱くなっている現代において、改めてその魅力をしっかりと伝えていく使命を感じています。原点である「ファッションを楽しむ」ことを、お得意様や、まだサンモトヤマを知らない世代のお客様と共に、深く追求していくことが必要だと思っています。新社長に就任する卜部氏はファッションの世界に長く身を置きながら、洋服の持つ力を信じ、その力を広く知らしめてきた実力のある人です。私たちは、タッグを組んで新しい風を吹かせていく時が来ました。

具体的にどんなことを届けていきたいとお考えですか?

本当に付加価値のあるものに出会うことを、これまでもずっと大切にして来ました。完成された魅力あるブランドから長年かけて私たちが学んだことは、「本当の豊かさとは何か」ということです。美しいものを追い求める姿勢、磨き続ける技術、新しい発想、続けていく信念、ブランドが成熟していく過程でふつふつと湧き上がり、育まれるもので、一見「もの」の形をしていますが、実は「感じる」ことのできる価値を纏っているのです。サンモトヤマがサロン的な場所であり続けて来たのは、そういった「感じられる」時間や場を作り出せていたからだと自負しています。日本において、そのようなお店はなかなかありません。今改めて、この力が問われていると感じています。日本から世界に発信できる場所として、ファッションとふたたび向き合わねばなりません。新しいお客様へは、届ける手段が変化していくでしょう。インターネットの力や、直接伝える場、より柔軟な発信をしていく必要があります。

会長と社長、新しいチームで、どんな風を吹かせたいですか?

新しい風、まさにそこです。私自身がその審美眼をもち、率先して飛び回れるように、一層国内外に目を向けて、審美眼を磨いていく必要があります。そして足元をしっかり固めていくために、新社長である卜部氏を迎え入れました。卜部氏は、事業としてファッションをビジネスに乗せていくことに、船頭となって牽引していきます。前会長が荒波の時代に大きな引力で、グッと引っ張ってくれていたエネルギーを受け継いだサンモトヤマスタッフ一人ひとりが、ますますレベルアップしていく時期に来ているのです。ファッションの世界でどんなビジョンを持ち続けたいか?つまり、「自分自身が洋服を着ることを楽しみ、そのことに感動した」その記憶を、今一度、呼び醒まして欲しいのです。 惚れ込んだものの魅力をきちんと表現していくこと。そして、私はその先頭を走っていくつもりです。

新店舗が開いてから実感されることはありますか。

海外からのお客様が増えていますね。彼らは日本の文化や感性を自国へ持ち帰ろうとして探しています。それは風光明媚な景色や料理、おもてなしといった日本の文化におさまらず、“和える”という言葉に象徴されるような美意識さえも、理解し愛でていると感じます。これらの新風の予感を、現実味を帯びたものに変えて行くことが、今後の挑戦です。

  • インタビュー・文stillwater
  • 写真Hanae Miura
  • 掲載日2018年6月